花嫁の記憶と花婿の想い(ビーズログ文庫)/秋野真珠
●目覚めたら、見知らぬ男と結婚してました。記憶を巡るサスペンスラブロマン。
目覚めた時、リイファは花嫁衣裳を着ていた。
そして目の前には「忘れたの? 僕たち結婚したばかりじゃないか」と優しく語る花婿姿の美貌の男が――。
そう、なぜかリイファは記憶を失くしていた。
取り戻す手がかりは、黒い男。彼の足跡を追うため、名ばかりの夫・シェイと旅に出たリイファだが、
この夫、異常なほど嫉妬深くて……!? 記憶のない間に何があったの? 

→普段は、ティーンズなラブな小説を書かれている作家さん。
設定は面白いと思ったのですが、如何せん展開が早すぎて。
ヒロインの記憶を取り戻すために、目の前に当たられる黒い男を追って、次々と街を渡り歩き、そこで取り戻した記憶で小さな活躍をしていく…。ヒロインがヒーローを好きになる過程は、なんとなく分かりました。顔も良くて頼りになれば好きにもなるだろう。
しかし、ヒーロー。うん、いつの間にこんなにヒロインを好きになったんだ、こやつ。
ヒーロー目線一人称は最後にちょろっとあるのですが、うーん。それだけ?
場面展開が早すぎて、登場人物になじむ前に終了…そんなお話でした。
サスペンスもサスペンスという程でもなく。わりと早い段階で展開がよめてしまったのが残念。
ヒロインがお仕事をしている姿が格好良かったのが、乙女系ラノベでは珍しい。
もう少し、できる女ヒロインの活躍を見たかったかな。

月の魔法は恋を紡ぐ 〜特殊な嗜好はハタ迷惑!-〜(ビーズログ文庫)
 /富樫聖夜                               
●幼児性愛病者(ロリコン)は滅びろ――!!子供の姿で愛されちゃった美女の変愛ファンタジー!
誰もが羨む美貌のリーフィアは、10歳の誕生日、
変質な魔法使いによって成長が止まる魔法をかけられてしまった!
――そう、彼は、幼児性愛病者(ロリコン)だったのだ!!
新月の晩だけ元に戻れるものの、18歳になっても子供姿のリーフィアは、
魔法を解除すべく王宮の魔術師に会いに行く。
しかし、そこで出会った王子様にやたらと好かれてしまい!?まさか、王子(あなた)もロリコンなの――!? 


月の魔法は恋を紡ぐ 〜魅惑の舞踏会は嫉妬の嵐!〜(ビーズログ文庫)/富樫聖夜
●見た目は子ども、中身は18歳。抱きついたら――犯罪(ダメ)ですか?
子ども姿で愛されちゃった変愛ファンタジー第2弾!
幼児性愛病者(ロリコン)の魔法を完全に解くことができず、
10歳の子供と18歳の大人姿の二重生活をしながら王宮に勤めるリーフィア。
ロリコン疑惑の王子エーヴェルトの膝抱っこはもはや日常茶飯事だ。
ある日、同盟国ガジスの王子と王女が親善のため来訪。
王女は以前からエーヴェルトに熱をあげていたが、
幼い王子はリーフィア(子供ver.)に懐いてしまう!!
そこに舞踏会が催され……!?

→1巻のラストがそもそも、いかにも「続く!」という感じで終わっていたのが頂けなかったかな。
すっきり1巻で終わって、続編が決まってから、2巻で伏線を…という感じにしていたら、綺麗だったのに。
こちらも普段は艶っぽいお話を得意にされている作家さん。
わりと王道な路線ですが、ギャグとシリアスのバランスが…。
1巻ではギャグよりとみせて、2巻でシリアスよりに話をふってしまったので、どちらに照準をあわせて読めばいいのか、若干戸惑いました。
ヒロインの「ロリコンは滅びろ!」という決め台詞は大好きなのですがね。
1巻では何を考えているのか分からなかった王子が、2巻では、何を考えているのか、ちょろっと、内面を吐露する描写が出てきましたね。
絶世の美女設定のヒロイン、好物です。
でも挿し絵の子供Ver.がかわいすぎるので、王子ではないですが、読者的にも、子供のままでもういっそいいのではないかと思っております。
2巻で投げられた伏線が複雑すぎて、きっと次の巻だけでは回収切れないだろうな…ということで、この後も数巻続きそうなので、いい感じにお話が盛り上がることを期待しています。
| ライトノベル感想 | 01:49 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった1〜3(一迅社アイリス)/山口悟
1巻●頭をぶつけて前世の記憶を取り戻したら、公爵令嬢に生まれ変わっていた私。え、待って!ここって前世でプレイした乙女ゲームの世界じゃない?しかも、私、ヒロインの邪魔をする悪役令嬢カタリナなんですけど!?結末は国外追放か死亡の二択のみ!?破滅エンドを回避しようと、まずは王子様との円満婚約解消をめざすことにしたけれど…。悪役令嬢、美形だらけの逆ハーレムルートに突入する!?恋愛フラグ立てまくりの破滅回避ラブコメディ★

2巻●乙女ゲームの悪役令嬢カタリナに転生した私。未来はバッドエンドのみ――って、そんなのあんまりじゃない!? 破滅フラグを折りまくり、ついに迎えた魔法学園入学。そこで出会ったヒロインのマリアちゃんの魅力にメロメロになった私は、予想外の展開に巻き込まれることになって――!?破滅エンドを回避しようとしたら、攻略キャラたちとの恋愛フラグが立ちまくりました? 悪役令嬢の破滅回避ラブコメディ第2弾!!

3巻●乙女ゲームの悪役令嬢カタリナに転生した私。魔法学園で待ち受けるバッドエンドを全力回避した結果、素敵な仲間が増えました!最大の危機が去り、はじめて迎える学園祭で大はしゃぎしていた私は、調子にのった挙句、誘拐されてしまって―!?破滅フラグを折った先で悪役令嬢を待っていたのは、新たな破滅フラグと恋愛イベントだった?大人気☆破滅回避ラブコメディ第3弾は、新キャラ登場&オール書き下ろし!!


→久々に乙女系ラノベの感想なんかを。
一迅社アイリスさんはときどきお世話になっているので、Amazonさんで評価が高かったこちらを購入。
正直に言おう、ひだかなみさんのイラストが見たかったのだ!(水の旋律大好き!)
まあ、読んであらすじの如く…なストーリーなのですが(当たり前だ)、主人公のド天然さと、人タラシ具合で、ご都合主義なんのその。完全懲悪、爽快劇!…そんなところが日本人の肌に合いそうな作品というか、なんというか。
…そんな読むのに頭も時間もかからない勢いのまま読めるラノベでした。
ヒロインのカタリナは、前世で普通のオタク女子高生だったものが、事故で死亡。
転生したら、自分が最後に攻略途中だった乙女ゲーの世界だという設定。
いやはや、乙女ゲーが浸透してきたこの時代だからこそのラノベですね。
乙女ゲーがアンジェかアルバレアの乙女とかしかなかった時代だと、こんな自由な発想無理無理。
まあ、そんなわけで、侯爵令嬢に転生したカタリナですが、悪役死亡フラグを回避すべく、前世での記憶にある、攻略情報を頼りに、もとのゲームの筋書きをかえていくわけです。
ド天然で大食いで楽天的な性格を武器に、攻略対象を男女問わず、カタリナハーレムルートに巻き込んでいきます。
2巻ではついに、ヒロインポジションだったマリアさえも攻略してしまうわけで。(でも自分ではそれに気づかないド天然さ)
小気味良いのは良いのですが、あんまりにもド天然すぎて、本当にこの子オタク設定かと疑ってしまう場面も。
既成事実を作ろうかとつぶやく、婚約者ジオルドのセリフも意味を理解せず、首筋につけられたキスマークにも気づかない。
乙女ゲー慣れしてたら、そんなの昨今のゲームだったら、余裕で分かるレベルの恋の駆け引きでやりとりでしょうに…。なんでこの子こんなに純粋培養なの…?
あとは、この作品の構成として、主人公目線一人称→それぞれの攻略者目線での同じシーンの一人称というのが繰り返されるのですが、「そのシーンさっき読んだ」というのが何度も重複してしまうのが、流石にページそれでさき過ぎだろう感が否めないのがちょっと残念でした。
1、2巻ではハーレム大団円という感じで、誰が一歩抜きんでている…というのはなかったのですが、3巻を読む限り、どうもジオルドルートで確定のようです。腹黒天然王子。うむ、王道ですね。
にしても、乙女ゲーのイラストレーターさん使うとかあざとい、あざといよ!(ありがとう!)

しかし、この本で初めて知ったんですが、「小説家になろう」という、素人投稿小説サイトがあるんですね。
そこで人気作はどんどんばんばん書籍化されており、これもその一つ…と。
いやはや。凄い時代になったものです。
しかし、あまりにも、そこで転生もの(しかも生まれ変わったらゲームの登場人物だった)設定の多いこと…。
これが昨今のはやりでしょうか。
そして男性向けは異世界主人公チートものが多いな…!
チート大人気…!いや、私も最強(狂)チート主人公咲さん大好きですけどもね!(笑)
| ライトノベル感想 | 01:25 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「月と夜の物語 魔神の王と祝福の乙女」/小椋春歌
●「あなた、私のこと好きでしょう?」――この優男(ひと)、危険度120%!
魔術師の少女ライラは、魔神の入ったランプを手にした瞬間から運命が激変!
ランプを探しに来た砂漠の国の王子とその従者ザインから、鬼神に攫われた姫を救う旅に一緒に来てほしいと頼まれる。
 未熟な術しか使えないライラは当然断るも、「あなたの代わりが見つかればすぐ交代しますから」と丁寧にお願いされ、旅に出るが……。優しげな従者と道中やたら密着度高し(!?)恋と冒険のアラビアン!


「月と夜の物語 流浪の双児と炎の魔術師」/小椋春歌
●「ここまで煽っといて違う!? どういうことだ!?」――
まさかの寸止め120%!! 恋と冒険のアラビアン!
教主の娘を救い出し、仲間と魔神の城に住むことになった魔術師のライラ。
 一方で、紳士的だけどちょっぴり強引な剣士ザインの求婚には答えが出せずにいた。
そんなライラの元に、姉の行方を捜してほしいと少年が城にやってくる。
ザインには城から出ないよう言わていたけれど、
 少年の必死な様子に魔術で外に出た……
ところ、奴隷商人に捕まって競売にかけられ――!?
アラビアンラブ第二章!


「月と夜の物語3 恋を失くした男と愛を誓った娘」/小椋春歌

●自らの天命を受け入れたライラは、魔術師の修行に励む日々。ザインとの仲も一進一退のままだ。そんな折、彼の祖国エルサムの帝王重篤の報が届く。ザインは元王子のシャールカーンを連れ戻すための罠だと言うも、ライラは彼らの抱える問題の為にも行くべきだと決意。ところがその国で、ライラはザインのものすごい噂を聞いてしまい……!? こんな男(ひと)でも愛せますか? アラビアンラブ終章!

⇒「恋する王子と〜」のシリーズの作者さんの新シリーズ。
ずばり作者さん買い。
そんなに長く続くことを想定しなかったようなつくりで、1巻で既に荒削りながら物語が完結するような表現をとっています。
しかし1巻だけでは、ヒロインとヒーローの心理描写が不十分。恋愛未満な感じで、曲者なヒーローの性格もなんとなくみえないまま終わり。
2巻で、ようやくヒーロー…ザインに「ヒロインにメロメロだけど振り回され過ぎて何だかダメダメになっているヒーロー」というキャラ立ちが確定。
ヒロインであるライラも、1巻ではさほど個性を感じなかったのですが、「聖母のような優しさをもつヒロイン」という特徴がつきました。(ほぼサブキャラ(マルジャーナ)の説明的なセリフで補完しているような…?)
…しかし、単なる「お人よし純粋少女」からのえらい昇格したなーと、1巻からの表現に違和感を感じたことは否めない…。
3巻では、ようやく恋愛が発展して、更に情けなさが増し増しになったヒーローとの掛け合いが楽しみ…!…というところまできて、完結。
おおお、3巻、せっかくの天才的な魔術師の才能を持ってるヒロイン設定が全然(ほんのちょぴっとはあったけど…)生かされてませんでしたよ!?
ようやく面白くなってきたところで完結なんで、何だか勿体ない印象を覚えた作品でした。
しかし、ザインが敬語キャラで、しかも「ヒロインに嫌われてると思うと心理的ダメージで吐血寸前になる」とか、何だかこの作家さんの前シリーズのヒーローであるアレクとよく似ているなあ…という感が。
でも、ザインの方がこと女性遍歴に関しては、最低すぎて、いっそすがすがしかったです(笑)
アレクは超!!!モニカ一筋でしたからね(笑)
| ライトノベル感想 | 03:59 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「F‐エフ‐ 巡る月と始まりの物語 (角川ビーンズ文庫)」/糸森環
滅びゆく異世界を救うことになった平凡な少女・響。目的地である王都の神殿への転移は成功したけれど、騎士リュイと聖獣エルとはぐれてしまう。幽鬼さまよう夜が訪れ、ひとりで人々の蘇生に立ち向かうことに!苦戦するその最中、闘神オーリーンから譲り受けた神剣の声が聞こえる。「小娘、非力な主!」その直後、身体を乗っ取られてしまい!?「私は、あなたのそばにいると誓った―あなたは?」救世の幕が開く第3巻!!
⇒シリーズ第3巻。ネットの方では既に読んだところではありますが、ネット版と見比べると、文庫版での修正が細かくなされています。
文末表現の変更や、会話と会話に入る間の入れ方。主人公の言葉遣いや表現。
荒削りながらも面白かったネット版から、更に洗練された表現になっています。
今のところ、糸森さんの書かれる中で一番好きなシリーズです。
生真面目なんだけど、どこか狂気を感じさせるヒーロー。ヒロインへの愛情(と一言で言うには複雑すぎる思いですが)がダダ漏れというか。それを気づいていないヒロイン(でも本能ではなんとなく察知してると思うのだけれど。)。
ゆえに、読者としては「はやく気づいてあげてー!!」とやきもきする展開。うむ、好み以外の何物でもない美味しい設定です。
3巻目にして、ようやくヒーロー&ヒロイン以外の人間が登場するという、異色な展開。
この方の書かれる話は脇キャラが魅力的なので、メインよりサブキャラに感情移入してしまう傾向が強い私ですが、珍しくヒーローであるところのリュイが一番好きです。…いまのところ(笑)
第3巻の今回で、ようやく、話が動き始めたところ。ネットで公開しているところに追いつくには、あと文庫2冊…といったところでしょうか。
「人」として世界に存在するのが、お互いだけ。
ともすれば、依存にもなりかねないその関係が、危うい均衡の上で成り立っていた。
そこに、新たな「希望」が舞い降りる。
はたして、それは「彼」にとっては救いとなるのか。
狂気への呼び水となるのか。仄暗い感情を垣間見せる、リュイの今後の変貌に期待大、です!
この巻の締めの部分、冒険小説らしく「これから冒険の幕が開く」的な終わり方でワクワク感が高まりますね♪

「六花爵と螺子の帝国 (一迅社文庫アイリス)」/糸森環

●奴隷の少女アオは、精霊王の攻撃から青年貴族ジーンをかばい死亡した…はずだったのに、目覚めたらなぜか二人の身体は入れ替わっていた!?魔導学院でも“六花爵”と呼ばれる特権階級のジーンに、畏れ怯えるアオだったけれど―。「おまえの身体が気に入ったからくれないか」って、ジーン様、それは無理です!全寮制の学院に強制入学させられた少女と無自覚天然青年貴族の、逆転学院ラブ!
→こちらは未発表の新シリーズ。
筆が早い作家さんって、読者的にはすごく有り難いです(笑)
ヒロインが奴隷身分っていうのは珍しいですね。…しかし、「学院ラブ」という言葉には語弊あり、です。
糖分低め、ほんのり芽吹いたくらいの段階です(笑)
非常に卑屈になっていた少女が、特権階級のジーンをかばった瞬間に死亡…と思いきや、身体が入れ替わっちゃった!というお約束展開。かと思いきや、それはそこ。糸森さん節がきいています。
思ったこと垂れ流しの天然朴念仁ジーンと、過去のトラウマから美声を隠して地味に地味に生きてきた少女・アオ。
身分など気にしない、卑屈になるなと、人としての生き方そのものを認めてくれるジーンに、少しずつ、過去の殻抜け出し、前を向いて歩きだすアオ。
…しかし、そんなジーン自身も過去の失敗から、己の力に嫌悪感を抱いており…。
「入れ替わり」ネタで一番気になる、お風呂とかトイレの描写にきちんと書いていることに好感を持ちました(笑)
ジーンが男色化と誤解したままのアオですが、さてさて。彼女を交えた三角関係になるか!?
…それ以前に、ヒーロー&ヒロインの自覚は次巻でなるのか…(笑)

花神遊戯伝 ちとせに遊べ、この花世界 (角川ビーンズ文庫)」
●平穏な世界で制服を着て通学していた頃の私はもういない―知夏を慕う緋剣の伊織は異形に。都は悪鬼の巣窟に。次々と知夏の手のひらからこぼれ落ちる大切なもの。だけど、死を覚悟した彼女の前に現れたのは意外な人物で!?神世から続く悲しい連鎖を断ち切るために、知夏は緋剣たちとともに神を相手に立ち向かう!「すべての想いが繋がって、この瞬間へと導いてくれた」舞台は神と人との対決へ。大人気シリーズ、堂々完結!!
→シリーズ最終巻。
全ての悔恨を洗い流す…という訳にはいかなかったけれど。
そこはちゃんと、「ご都合主義」ではなく、新たな「未来」を生きていく登場人物たちに、それぞれの役割を託した形で幕を閉じたと思います。きっとこれからも、茨だらけの道のりで。それでも、皆でつかみ取った希望を胸に。
それぞれが、それぞれの道を一歩一歩、進んでいくのでしょう。
しかし、朝日さんファンとしては、朝日さんに、もっとちゃんと報われて欲しかったという気持ちが…こう、湧いてくるというか…!!!あーさーひーさーん!!
…それはそれ、おいといて(笑)
今作のヒロインであった知夏も随分シリーズを通して成長しました。緋宮としてだけではなく、一人の少女としても。
彼女が皆に残した――ひとひらの花びら。
淡く、胸にとけて。それぞれの胸に、ほのかな熱をやどす。
途中、苦しい展開もいっぱいありましたが、冒険の終わりを見届けた今、非常に柔らかな読後感を感じています。
番外編が今月出るそうなので、楽しみに待ちたいと思います。

                
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「呪われた王子と黒薔薇の乙女」(ルルル文庫)/宇津田 晴
●王子の呪いを解く方法は真実のキス!?
表向きは名門プリエール家の令嬢。裏の顔は心霊現象の専門集団〈ラ・モール〉の総統補佐! 悪霊を昇天させるため、日夜、乙女の拳を振るいつづけるノワイエは、普通の女の子としての生活に憧れながらも、使命を第一に奮闘している硬派な武闘少女だ。
そんなある日、ラ・モール総統である父親から「死の呪いにかけられ余命3ヶ月となった第三王子ソールを救え」という緊急指令がくだされる! ただし、呪いの解除方法は『愛を込めた真実のキス』!? 初恋も未経験のノワイエは、そんなの絶対ムリ…と泣きそうになりながらも、呪いのせいで激しい心霊現象に巻き込まれている王子を救うため、封印された館で同居生活をはじめることに。
呪われているくせにいつも悠然としていて、むしろ自分をかばおうとしてくれるソール王子。そのやさしさに惹かれるノワイエだったが、なぜかソール王子はノワイエのキスを拒むそぶりを見せて…!?
ロマンチックいっぱい、悪霊まみれのスイート・ラブコメディ!

⇒宇津田節全開って感じです。しかし今回王子様の挿し絵が、ごく薄い顔立ちのせいか、いつもの宇津田さん作品に比べてあまり印象に残っていない…。中身は、一見胡散臭い笑顔に本音をかくした優男。でも途中から、男の子の方が、ヒロインに本気になっていく…といういつもの展開。
ヒロインであるノワイエ。「武闘少女」と銘打っていますが、こちらも中身はいつものこの方の描くヒロインらしく、恋する少女らしいフワフワと夢見がちな。でも恋する人のためには、必死に頑張る女の子…です。
お互い思いあっているのにすれ違い…という展開もいつもの通り。
今回はこれで大団円かな?と思わせておいて、もう1段階波乱があるのが良かったです。
ムキムキお姉言葉の守護天使の汗入り聖水を飲まされた王子が爆笑でした。
この方の作品は大体が定型の展開なのですが、その決まったラブラブ展開にほっこりしてしまっていつも購入してしまいます。

「Fー黎明の乙女と終焉の騎士ー」(角川ビーンズ文庫)/糸森環
●春休みに突如異世界に召喚された、三島響。“フォーチュン”と名乗る存在は、響を後継者候補に選んだと言い放ち、荒廃した世界エヴリールへとばす。神々の加護を受けた響は、そこで騎士・リュイを助ける。彼は、幽鬼が跋扈する世界で、ただ一人の生き残りだった。「あなたを必ず守る。俺は変わらぬ忠誠を捧げよう」運命に選ばれし、世界を救う二人―孤高の異世界トリップ・ファンタジー!大人気WEBサイト公開作、書籍化!!
⇒「花神遊戯伝」と同じく、異世界トリップもの。
まだまだ序章。これから面白くなるってところで、まずは一通り世界観を紹介した巻という印象です。
響の旅は始まったばかり。どこか楽観的にとらえている感のある本作。2巻から本格的に話が動き出すといった印象です。

「F−茨の刻と青の地図ー」(角川ビーンズ文庫)/糸森環
●突然異世界に召喚された平凡な少女、三島響。助けてくれた美しき神々たちに、滅びゆく彼らの世界エヴリールを救うことを約束する。エヴリール唯一の生き残りの騎士リュイ、聖獣エルとともに旅をはじめた響。しかし、神々の力を譲り受け、簡単にいくかと思われた響の使命は想像以上に過酷だった。幽鬼たちに囲まれて、絶体絶命に陥った響たちは…!?「あなたの最期を私に―人としての、死を」話題沸騰作、待望の続刊登場!!
⇒まだ生きている人はヒロイン・響とリュイの2人きり…1巻はまだおじさんが出てきましたが…。こんな少女向けラノベって珍しいんじゃ…。
今回ヒロインが「救世主」としての自分と「平凡な」一人の少女としてのギャップに気が付き、苦しむ描写が濃く描かれています。そしてその場合、大量の命の犠牲が伴うわけで…。痛い展開ですが、その現実を受け入れながら、傷つきながら少しずつ成長していく響。
平凡だけれど、最終的にはそこから目をそらさず、受け止めていくあたり、この方の描くヒロインの魅力だと感じます。
同時にリュイの精神の均衡がすごく脆いところで保たれていることを暗示するような描写も。
この方の作品は、偏執的というか、妄執的というか、どこか歪んだヒーローなんですよね。基本的に。世界観が世界観だけに、素直で実直なヒーローにお目にかかったことがない。(いや、「恋と悪魔と黙示録」の方のヒーローは素直で実直と言えるのかも…?)
Webで読む限り、この後の展開こそが楽しみなので、早く蘇った他の人たちとの交流と、その交流が増える度昏さが増していくヒーローを愛でたいと思います。
| ライトノベル感想 | 02:46 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |